「変化に伴い常に成長していく会社を目指す」パームロイヤルホテルNAHA|代表取締役総支配人 高倉直久

パームロイヤルホテルNAHA|代表取締役総支配人 高倉直久

沖縄に来たら誰もが一度は訪れる那覇市国際通り。その中心に「ホテルパームロイヤルNAHA」があります。那覇市内はホテルの激戦区でもあるが、先人の知恵を受け継ぎ、進化のある空間演出を常に行い、心を込めたおもてなし、琉球ホスピタリティーを大切にする「ホテルパームロイヤルNAHA国際通り」の代表取締役総支配人高倉直久氏にインタビュー。

— 御社の経営理念・事業内容を教えてください



経営理念というよりは、我が社のモットー、「社員の5か条」があります。

1.自分の人間性に誇りを持つ
2.紳士・淑女として振る舞う
3.絶えず笑顔で接し、明るくはっきりとした声と正確な言葉で情報を伝える。
4.お客様に喜びを自分の喜びととらえる
5.喜びを感動に変えられるプロ・ホテルマンになる


私たちは主にホテル業と、太陽光発電事業(1650Kw規模のメガソーラー発電所)を行っています。
太陽光発電事業をやるきっかけは、糸満市に弊社所有のパームロイヤルホテル使い道のない遊休地があり、大手電機メーカーであるシャープさんとの繋がりもあって当時流行していた太陽光発電事業を始めました。

共同代表である父(代表取締役社長高倉幸一)に相談した際、「そんな高利回りの美味しい話は信じがたい」と言われましたが、当時の国政が推奨するクリーンエネルギーの事業であり売電価格を20年間固定買取制度や一括償却できるグリーン投資減税も国が認めていた経緯もあり父と共に太陽光事業をスタートしました。遊休地の土地は日当たりも良く太陽光発電をするには最適な場所だったこともあり、我が社の財務状況は劇的に変化しました。

その頃のホテル事業は不振で、流行病や旅行客の停滞などでマーケットが縮小し厳しい状況だったのですが、太陽光発電事業で安定した売電収入が得られるようになった頃からホテル事業もV字回復し、安定した経営基盤を確立することができました。

この事業は開発業のノウハウがある父とその時代にあったビジネスモデルの目利きをした僕の強みを活かした初めての共同事業で、大成功を収めることができました。この事業をきっかけに本業であるホテル業も元気になっていき、今のパームロイヤルホテルNAHAがあります。

— 事業を引き継ぐキッカケ・その時の苦労について教えてください


パームロイヤルホテルNAHA
パームロイヤルホテルNAHA 公式サイトより

24歳の頃、ホテルの開発準備室の室長としてスタートし、その後ホテルパームロイヤルNAHAをオープンすると同時に総支配人となりました。3年後(27歳の時)に祖父から代表取締役として債務もすべて私が引き継ぐことになりました。

現在は共同代表の父が経営の代表として、私は現場の代表をしていますが、完全に引き継ぎするまでには3~5年ほどかかります。父が事業をしていたのを学生時代から見ていたのもあり、いずれは自分も事業を継ぐことを自覚はしていましたが、継ぐから今のうちに「ああしよう」「こうしよう」というのはまったくありませんでしたね(笑)。

オープン当時、私はホテル業務の経験がまったくのゼロで、やり方もわからない状態でした。またスタッフも年上が多く、ホテルの運営や活用の仕方が分からず揉めたこともあり、その時は頭に円形脱毛もできました。2個目の円形脱毛ができたあたりからスタッフの周りで「支配人、円形脱毛が出来ているらしいよ・・・」と噂が広まり、余計に悩んでいた時期もありましたね。

父も気付いていたようで、一緒にゴルフをしているとき「直久、今は大変だと思うし年上のスタッフとの関係作りは難しいと思う。けれど、年上だろうが年下だろうが年齢は関係ないよ。年上だからといって気を使っていたら指示できないだろうから、支配人という立場でモノを言えるようにしなさい」と言われました。

そこから吹っ切れて、円形脱毛の箇所をわざとスタッフに油性マジックペンで塗ってもらうなどして(笑)気持ちが落ち着いたのか脱毛もすぐに治りました。そこからストレスに強くなり、多少のことでは動じない『強い心』を手に入れることができました。


— 事業のターニングポイントについて教えてください


パームロイヤルホテルNAHA|代表取締役総支配人 高倉直久

直近のターニングポイントは「レベニューマネジメント」ですね。当たり前のことですがホテルの部屋は空き部屋を翌日に繰り越すということができません。そのため収益を最大限に高めるために徹底したデータ分析で需要を予測し最適な価格でお部屋を販売する手法を学ぶレベニューマネジメントのコンサルタントと契約をしたのですが、当時の予約担当スタッフや管理職員から現状のままでいいのではないかという反対があり賛同を得られず社員がついて来なかったんですよ。

そんな状況の中、残ってくれた社員の中から一番やめない人を考えたら、僕と姉(マーケティングディレクターの高倉ウィラー智子)だったので腹を決めて2人でレベニューマネジメントを学ぶことにしました。そしたら売上が急上昇しまして、2年間で160%増と、今まで寸志程度しか出せない企業でしたが賞与が年2回出せるようになりました。収益性がまるっきり変わりましたね。

キッカケは沖縄県の経営基盤を安定させようとする事業があったのですがやりたがるホテルが無く、ピンと来たのもあり私たちがやりました。レベニューマネジメントは半年間という期限付きの無料契約だったのですが、父にこの事業内容を説明すると「俺が求めていたのはこれだ!」と言い、年間契約に切り替えて継続しました。レベニューマネジメントに賛同しない社員はついて来なくても良いと父は会社で旗振りをしてくれました。

— 高倉さんが常識にとらわれず新しい事ができたのは、若い年代ということもあったかもしれませんね。

普通のサラリーマンなら与えられた予算を達成するとセーブをかけるところも、僕と姉は経営者サイドなのでノルマに関係なく予算を達成しても限界まで数字を追い求めることができました。業績が上がったことで社員にも還元することができたので会社にとっても社員にとっても経営サイドである僕たちにとっても素晴らしい結果となりました。

レベニューマネジメントは数字を分析して、最適な需要と供給をはじき出すので、数字に強くなるんです。そうしたら会社の改善点も見えてきて、パームロイヤルはもっとポテンシャルがあることがわかりました。他のホテルさんと比べても負けないくらい自社の市場の伸びが高くなりましたし、そういう指標がわかるようになりました。

結果、全国組織である『宿泊施設活性化機構』の宿泊ダボス会議にて2018年レベニューマネジメント大賞を受賞、口コミ獲得にも力をいれ世界最大の口コミサイトトリップアドバイザーでも那覇市内の宿泊施設112施設中1位を11か月キープさせていただいております。

「変化に伴い常に成長していく会社を目指す」パームロイヤルホテルNAHA|代表取締役総支配人 高倉直久
メディア記事より

— 今後の御社のビジョンについて教えてください



ホテルパームロイヤルNAHA
パームロイヤルホテルNAHA 公式サイトより

ホテルパームロイヤルNAHAはビジネスホテルとしてオープンしましたが、社会の変化や消費者の行動を見ながらニーズに合わせて変化に対応できるホテルです。2018年にはツインルームをメインとした他ホテルが真似できない独自性のある美術品を展示した新館RAMタワーを開業し、大浴場も新設しました。今年は7月末にプールとプールサイドバーの建築工事中です。ビジネスホテルの枠を超えたライフスタイルを売る『高付加価値アーバンリゾートホテル』として変化を遂げて参ります。

「ビジネスホテル」という枠組みを越え、新しい層のお客様へご利用いただけるように、設備の充実化だけでなく、自分たちのホスピタリティやサービスの向上を目指した社員教育を行なっており、皆がやりがいをもって自分らしく、また自分の人間性に誇りをもって日々業務に取り組んでおります。今後は新規事業も予定しています。

現状に満足してしまった時点で退化が始まります。常に変化し続け、常に社会と共に成長していく会社を目指しております。“ダイバーシティ”と“独自性”をキーワードにして、多様性に順応できるビジョンを持ち、沖縄のリーディング産業である観光業を地元企業であるパームロイヤルが牽引していけるよう社会的責任を持ったホテルにしていきたいです。


— 一緒に働きたいと思う人物像を教えてください


パームロイヤルホテルNAHA|代表取締役総支配人 高倉直久

やはり、フレキシブルに物事を考えられる人がいいですね。専門職的なものだけではなく、マルチで物事をこなせる柔軟性のある人がいいです。

弊社の社員の男女比率は大体半々で30代が多いです。日本人以外にも台湾、韓国、ネパール、ベトナム出身のスタッフに、キルギスから来ているインターンシップ生と外国人スタッフも活躍しています。今後もグローバル人材はもっと必要だと考えており、特に中国語を話せるスタッフを増やしたいですね。当ホテルは英語、フランス語、中国語、韓国語、ネパール語、ロシア語、キルギス語、ベトナム語、日本語の9ヶ国語を網羅しております。

弊社は学歴や経験は問いません、逆に未経験者の方が良かったりします。例えば、未経験者だった韓国出身のスタッフは、韓国人内の口コミで「沖縄に行くならホテルパームロイヤルの韓国人スタッフを訪ねると良い」という評判が広がっているようです。


— 未来のスタッフへ・沖縄の若者へメッセージをお願いします


パームロイヤルホテルNAHA|代表取締役総支配人 高倉直久

未来のスタッフへ
会社は働く社員に働きがいがないと衰退すると思います。我が社は働きがいが持てる、「働いていて楽しい・自己成長できる」と思えるような会社にしていきたいと思っています・雇用の面でも福利厚生をより充実させ皆が満足してもらえるような給料や手当を出したいですね!その代わり弊社の追い求める目指すべきところに共にに歩んでいける志の高い人財と出逢いたいですね。

沖縄の若者へ
目的意識を持って働ける仕事、働きがいのある会社を見定められるように情報収集をしておくと良いと思います。

最近は個人と会社が互いのことをあまり調べていないことによるミスマッチが多いです。将来自分はどういう人物になりたいのかを先に考えれば、自ずと自分に合う会社を選ばないといけないし、合わない会社には選ばれないと思います。適当な人と、ちゃんと準備している人では、その意識の差だけでも後々の所得は変わってくると思います。
ミスマッチは時間がもったいないので、会社のことをきちんと調べて、会社の魅力を発見できるような人になってほしいですね。

沖縄の若い人たちには特にそうなってほしいです。

氏名:高倉 直久(たかくら なおひさ)
年齢:39歳(昭和54年生)
出身地:那覇市
出身校:沖縄県立首里高等学校 > 亜細亜大学
(亜細亜大学在学中にEWU短期留学、UCLA短期留学)
趣味:ゴルフ(現在は月1回程度)
特技:ゴルフ(ベストスコア70、HDCPは2.9※現在ではございませんと(笑))
好きな映画:「007」シリーズ
好きな本:神社に関する本(近所にある「だるま寺」はおススメです)
好きな音楽:MONGOL800、バラード系
好きなお酒:ウィスキー、赤ワイン
行きつけのお店:Dirty Martini(ダティーマティーニ)
いま一番ほしいもの:貪欲さ

【ホテルパームロイヤルNAHA】
■HP:http://palmroyal.co.jp
■住所:〒900-0013 沖縄県那覇市牧志3-9-10 地図
■事業内容:ホテル事業
■従業員数:39人(2019年4月現在)




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